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- この記事の対象の方
- 無駄な移動時間・報告時間を短縮したい方
- 社内SE不要でセキュリティの担保を行いたい方
- アナログ的なデータ管理・情報保全作業から脱却したい方
紹介企業:東京都の特殊製造業を営む企業
解決内容
改善のポイント
● 既存業務フローの洗い出し&タッチポイントの整理
● DX化に対する既存社員からの強い抵抗に対処

担当者の負担を大幅に軽減!複数ツールの一体化を確立

長い伝統と歴史をもつ企業がDX化を行う際に、必ずボトルネックとなるのが「レガシーからの脱却」に対する既存社員からの強い抵抗や反発です。
そのため今回のケースでは、GRILLのスタッフがプロジェクトメンバーとして主体となり、DX改革に直接参加しています。
その結果、社内の不安が解消され、社員全員がITを使って仕事をする環境を作り出すことに成功しました。
導入効果

報告業務をIT化
機密情報保全の見直し
レガシーからの脱却!
無駄時間大幅カット!

GRILLスタッフ参加による
社内プロジェクト化
不満&不安を減少
円滑なDX化に成功!
報告業務をIT化
紙ベースの稟議書を廃止し、クラウド型のシステムを新たに導入いたしました。
その結果、会社帰還の無駄時間をカットし、遠方への出張に伴う報告でもスムーズに行えるようになりました。
機密情報保全の見直し
紙ベースでの機密情報の保管には、盗難&漏洩&紛失の高リスクが常に伴います。
そのため、Salesforce を連携導入し、会社の資産と言える顧客情報や資料をデータ化し、安全に保管できる環境を整えました。
チームビルド&定期的なフォロー
今回のケースにおいて一番のボトルネックとなったのが、既存社員のレガシー脱却に対する強い抵抗です。
入社歴が短かった担当者様だけでは、ベテラン社員の不満を抑えることができませんでした。
そのため第三者であるGRILLスタッフが間に入り、既存社員の「悩み」「やりづらいポイント」「問題点を一つずつ」解消いたしました。
その結果、次第に不安が解消され、ベテラン社員にも抵抗が少ないDX化を進めることができました。最終的なヒアリングでは、全社員から非常に好印象な感想を頂いています。
改善を行った企業の背景
リモートワークやITに全く対応していない
東京都で長年特殊製造業を展開されるこちらの老舗企業。
この企業で働かれる従業員の方々は、皆さん特殊な技術&経験を持つベテラン精鋭スタッフです。
顧客対応には特別な知識や経験が求められ、また現場を実際に調査をする業務が必須です。
そのため顧客対応にも現場調査にも、外部委託をすることができません。
限られた人数の少数精鋭のスタッフは東京にある本社から、北は北海道、南は沖縄、海外まで毎日出張を行い、現場作業を直接行っています。結果的にこちらの企業では、就労時間の実に7割以上の時間が、出張に費やされていました。
対象企業の問題点
- ベテラン精鋭スタッフが現場に直接赴いて、顧客対応や調査を行う必要がある
- 長い歴史と実績を持つ
- 日本全国に顧客を抱え、公共事業も取り扱う
ヒアリングで見えた課題
セキュリティが低すぎる & 無駄時間が多すぎる
一方で、こちらの企業長年のレガシーには非常に根強いものがありました。
報告やデータ保管は全て帰社してからの紙ベース。承認には上司の捺印が必要です。
また外出先で資料の確認やアップデートを、オンラインで行うこともできません。
さらに公共事業に伴う機密情報も、全て紙ベースでの社内ファイル保管がされているだけの状態です。
そして最大の課題としては、変化に対するベテラン社員の強い抵抗が挙げられました。
対象企業の今回の課題
- 機密情報を安全に守る、高セキュリティのツールを導入したい
- アナログから脱却したい
- 過去のレガシーも安全に保持したい
- 出張→報告に伴う、無駄な移動時間の削減をしたい
課題1. セキュリティを再重視
こちらの製造事業では民間だけではなく、公共事業まで取り扱っています。
提出書類や社内での共有資料が多く、社外秘となるデータも少なくありません。
そのため、外出先で見積を作る際や、出張先での現場技術チームとミーティングなどを行う場合など、必要データにアクセスするには、セキュリティ性が高いことが一番に求められます。
そして、かつ手軽に共有できることである事も、今回の社内のデジタル化で実現したいテーマでした。
課題2. レガシーからの脱却
長年多くの実績を持つこちらの企業では、旧来の伝統的なアナログ形式(紙)での提出書類管理や、先駆者からのレガシーな内部業務フロー、内部監査対応など、様々な条件も入り組んでいました。
そのため、レガシーからの脱却+保全性の担保も大きな課題となりました。
課題3. 「無駄時間」の削減
前述した通り、特殊技能を持つ精鋭スタッフの数は限られており、通常は東京本社での勤務を行っています。
しかし、実際に本社スタッフが現場に赴くケースが非常に多くあり、出張に伴う時間数は膨大となっていました。
ヒアリング当時、該当スタッフからは実に7割以上の時間を出張に費やしているという問題点があげられました。
解決までの道のり
既存業務フローの洗い出しを行い、段階的に課題を解消
まずはヒアリングをもとに、GRILLスタッフが必要なツールの割り出しとご紹介を行いました。
また担当者様に直接手順を学習していただくことで、2か月の短期間で社内のデジタル化をスムーズに完了させています。

STEP 1. 現在の具体的な問題点を探し出す
まず第1段階として、現状の業務フローをデザインに可視化し、ボトルネックとなっている部分を探しました。
1.必要データを社外から見ることができない
現状として、データストレージが社内ローカルであるという問題点がまず見つかりました。
以前まで社内データストレージは、インターネットに接続しない限りは一定のセキュリティの高さを保持できるという利点が重視されてきました。
しかし、現在では人為的な漏洩・紛失・メンテナンスのデメリットという問題点が、さまざまな事例から多く報告されています。
また、この企業もセキュリティを最重視をしているが、自社での定期メンテナンスが困難に陥っているという現状がありました。
2.データのやりとりが紙で行われている
実績・経験のあるこちらの企業では、20年以上「紙」でやりとりを行なっているという伝統がありました。
また実際に多数の社員からも「紙でデータを作る方が作業効率が良い」という意見があがりました。
3.社内稟議が押印のみ対応
押印文化が当たり前となっており、全ての書類には上司の確認+直接の押印が必要であるというルールが定められていました。
しかし外出先から上司に報告するために、全ての社員がまずは本社に帰社する必要があります。
また、上司が外出先の場合、いつまでたっても承認を得ることができず、作業が一旦ストップしてしまうという問題点があげられました。
4.顧客やり取りに郵送を利用
さらに顧客との書類のやり取りにも、押印した紙書類を郵送で発送するという方法が長年使用されてきました。
しかし書類送付には印刷→スキャニング→押印→郵送の多くのプロセスが必要あり、一枚の書類を顧客に送付して返答を得るのに、数日間から数週間かかってしまうという現状も当たり前となっていました。
5.使用メールサービスの問題
一部の顧客とのやり取りには、従来の電話&メールが使用されてきました。
メーラーには Outlook2007 が使われており、使用端末にメール内部のデータが残ってしまう問題があります。そのため、パソコンの紛失など外部での仕事には、常にリスクを抱えている状態です。
セキュリティを最重視する現状では、使用するメールツールの見直しを行う必要がありました。
STEP 2. 新業務フローの設計&ツール選定&導入
現状の問題点が明らかになった段階で、管理リーダーとなるクライアントのIT担当者と連携しながら、既存の業務フローを活かしつつ業務フローを設計していきました。
顧客の要望は、費用を抑えかつセキュリティが高く、操作が簡単なツールを導入し、スムーズなデジタル移行を行うことです。
こちらのご要望にもあった通り、デジタル化の成功の秘訣は「なるべく少ないツールで、多くの課題が解決できるように構造をシンプルにする」ことです。
1. クラウド型ストレージ&ベースとなるグループウェアの選定
まずは顧客の1番の課題点である、ストレージを擁したオールインワンタイプのグループウェアの選定から行いました。
候補に上げたものはシェア率の高い Office365、無料で使える要素の広いかつ、操作性に定評のある Google Work Space でした。
最終的にはこちらの企業は Google Work Space を選択されました。
決め手となった理由は以下の通りです。
Google Work Space のポイント
- Google Drive との強固な連携
- 無制限ストレージが選択できる
- 蓄積データの増大にも対応が可能
- フォルダアクセス権限管理の容易さ
- スタッフの出入りが激しく、都度利用者権限の変更が必要
- フォルダのアクセス制限が経験のない管理者でも簡単にできる
2. 既存のエクセルファイル&紙フォーマットをスプレッドシートで共有化
グループウェア&クラウドストレージの選定が終わった段階で、過去のエクセルファイル&紙書類の共有化に着手しました。
エクセル&紙データをストレージクラウドへ
- オンライン会議上でも過去の書類も共同編集・共有を容易に
- データのヒストリー管理で、誤操作・改ざんリスクを大幅に軽減
- 災害時の物理的なデータ紛失の恐れを0に
3. Rakumoの押印ワークフローの導入
押印ワークフローの導入で、外出先での稟議書提出や出張中の上司から捺印がもらえない問題を解消しました。
今回選択したツールは Rakumo押印ワークフローです。
決め手となった理由は以下の通りです。
Rakumo押印ワークフローのポイント
- グループウェアに対応している
- グループウェア Google work space に対応
- Google drive との連携が可能
- 対応デバイスが豊富
- パソコン、スマートフォン、タブレットに対応
- デバイスを選ばず、申請や承認が可能
- フォルダのアクセス制限が経験のない管理者でも簡単にできる
- 無駄時間の削減が可能
- 社内外の稟議・契約締結プロセスの電子化「ハンコ出社」の解消ができる
- 操作方法が単純明快
- 難しい操作が必要ない
- ノーコードで様々な業務フローに対応
- 知識の無い管理者でも容易にカスタマイズが可能
4. クラウドサインの電子署名の導入
電子署名と認定タイムスタンプを利用する事で、契約書のやりとりの電子化を行いました。
利用ツールとして クラウドサイン を導入しています。
クラウドサインのポイント
- 圧倒的な時間短縮
- 従来の作業では、印刷→スキャニング→押印→郵送
- 高セキュリティ
- 合意したPDFファイルの証拠力を担保し、安心して長期保管が可能
- 電子署名&タイムスタンプに対応
- 法務系の企業からの電子署名とタイムスタンプを付与可能
- 「誰が」「何を」「いつ」合意したかが証明できる
5. 既定のメーラーをブラウザベースに変更
Google の Gmail を採用することでメール情報をクラウド上で管理できるようにし、場所や端末を選ぶことなくスマートフォン上でもいつでもメールの送受信をできるようにすることを提案しました。
Gmail は誰でも利用できるフリーメールと思われがちですが、実はその機能には非常に高い定評があります。
Gmail では独自ドメインの設定も可能です。
またフィルター管理機能がしっかりとしており、顧客からのメールも「受け取りやすい」メールサービスです。
Gmail のポイント
- グループウェアとの連携
- グループウェア Google Work Space の包括的なサービス
- セキュリティ向上が見込める
- メール情報はクラウド上で管理
- 利用デバイスが豊富
- 場所や端末を選ばず、スマートフォンでもいつでもメールの送受信が可能に
6. 外出先からも会議に参加
これまでの会議は、参加する社員は全員まず本社に集まる必要がありました。
しかし外出予定と会議の日程が重なる、会議のために長時間をかけて帰社する必要がある、という問題があります。
そのためオンライン会議ツールを導入し、社外からでも会議を行える状態を整えました。
また日程が合わず会議に参加できない社員がいる場合にも、録画した会議の動画を共有することで、議事録の閲覧だけよりも、会議の内容をより理解することができます。
今回導入したツールは Google Meet です。
Google Meet のポイント
- グループウェアとの連携
- グループウェア Google Work Space の包括的なサービス
- 画面共有可能
- オンライン会議中に、資料や参加者のブラウザ画面を共有することができる
- 録画機能搭載
- 会議を録画することができ、議事録としても使用が可能
- グループウェアに参加している社員に共有が容易
7. 既存データの安全な保存
こちらの歴史と実績のある企業には、これまでの顧客情報やプロジェクトの資料が膨大な紙ベースで残されている状態でした。
そのため Salesforce を連携導入し、会社の資産と言える顧客情報や資料をデータ化し、安全に保管することをご提案しています。
また、同時に Salesforce の標準機能の一つである「TODO管理ツール」を利用し、外出先からでも管理者&社員がタスクを確実に管理できるように環境を整えました。
Salesforce のポイント
- 高い実績とシェア率
- 世界No.1の顧客管理(CRM)プラットフォーム
- クラウドベースのCRM(顧客管理システム)、SFA(営業支援システム)、MA(マーケティングオートメーション)に対応
- 顧客情報管理に優れる
- 過去から現在に至る全ての顧客情報をデータ化
- タスク管理機能を標準装備
- Todo管理機能が付属
- 外出先からもデバイスを選ばずスク管理が可能に
STEP 3. チームビルド&定期的なフォロー
問題点の具体的な選出、またツールの紹介&導入をおこなった段階で、社内環境の最終的な構築とフォローアップを行いました。
クライアント側のチームビルディング
導入するツール・サービスを決定後、プロジェクトリーダー、導入支援者、各部署の運用メンバーの選出を行っています。
また導入テストを、決裁者、ステークホルダーとの協力を元に行いました。
定期的なフォロー
定着化までの勉強会や振り返り会を月に一度と定め、定期的に共同開催しています。
定期会議では都度、企業スタイルに合ったマニュアルを作成し、複数の社員に直接 Grill が長年培った Google Work Space の有効利用についてのレクチャーも行いました。
これにより導入後数か月で、各部署の核となるITリーダーが育ち、ツールを使いこなす社員が慣れていない社員を教育する体制づくりを浸透させることができました。
結果的には業務改善を行うだけではなく、ボトムのスキルアップに貢献させていただくこともできています。
総合
ベテラン社員の抵抗を解消し、レガシーからの脱却を実現!

以前からの慣習を変える行為は、既存の社員からの強い抵抗・反発が必ず伴います。
こちらの企業もその典型であると言えるでしょう。
そこで GRILLでは、入社歴が短かった担当者様だけではなく、複数のベテラン社員にもインタビューを行いました。
実際に、古くからの社員や高年齢の社員の変化に対する抵抗をし続けることが、こちらの企業のボトルネックとなっていたからです。
今回の「抵抗」に対する対策として、GRILL スタッフがプロジェクトメンバーとして、定例会議を設けることで弊社が間に立つことにしました。
悩み、やりづらいポイント、問題点を一つずつ潰していくことをつづけた結果、次第に不安が解消され、社員全員がITを使って会社に戻ることなく仕事をする環境を作り出すことに成功しています。
結果、最終的なヒアリングでは、非常に好印象な意見を実際に伺うことができました。
複数ツールのインテグレーション確立
社内全体を巻き込むDXは多角的なITツールの知識と経験が必要となってきます。
成熟している業務形態であると、ツールの導入だけでは問題の解消が難しく、複数のツールの総合利用が重要となってきます。
その為「ツールの長所」「短所を機能的な視点」「費用的な視点」「ユーザビリティ的な視点」で多角的に熟知してる必要があるのです。
しかしながら経験の少ないIT担当者が任命されてしまうと、それぞれのツールそれぞれに問い合わせ、繋ぎ合わせていくという手段を取るしかなくなります。
こうなってしまうと十分な情報収集がままならないため、弊社のようなコンサルティングサービスを使用することにメリットが出てきます。
今回ご紹介させていただきました企業様のように50人規模の会社では、システム専任者が従事しているケースは稀となります。
多くの場合、別業務の担当者が兼任しているケースが多く、一人で構想をたて、計画をだすこと自体も大変困難になってくるからです。
コンサルティングを利用する2次的メリット
企業がIT化を決断すると必ず出てくるのが、社内のベテラン社員やステークホルダーとの対立やレガシーの業務との軋轢です。
今回のケースの担当者様は入社4年目の方でしたが、新体制導入後の複数の入社20年を超えるベテラン社員や60代を超えるステークホルダーの抵抗が、最大の懸念点となっていました。
しかし GRILL のようなコンサルティング企業が間に立つことで、担当者への負担や、意見の分裂のリスクも防げ、1つの方向性を確立するため、プロジェクトの遂行スピードが各段に早くなります。